2025年12月から従来の健康保険証は廃止され、マイナンバーカードが健康保険証として利用されるマイナ保険証へと完全に移行しました。これにより、医療機関では患者さんの過去のお薬の履歴やメタボ健診の結果などの特定健診情報をオンラインで参照できるようになり、より効率的かつ安全な医療が受けられることが期待されています。

マイナ保険証で性病歴が分かる?

一方でプライバシー面の懸念も無視できません。過去に処方されたお薬の履歴が分かるということは、どんな病気で受診したかが分かるのではないか?特に性感染症(STD)の診療においては、受診歴を知られたくないという場合がほとんどです。

本ブログでは、今回の制度変更の目的とメリット・デメリット、そして患者さんが取れる対策について、分かりやすく解説します。

なぜマイナンバーカードを健康保険証として使うのか?

マイナンバーカードの保険証利用は、以下のような目的で導入されました。

● 医療情報の一元管理

これまで医療情報は、病院ごと・薬局ごとに分散していましたが、マイナンバーカードを使うことで、薬剤情報(お薬の履歴)や特定健診(メタボ検診など)の結果が共有され、継続的な医療の質が向上します。

● 重複投薬の防止

たとえば、複数の病院にかかって同じ薬が重複して処方されると、副作用のリスクが高まります。マイナンバーカードを使えば、医師・薬剤師が過去の処方歴を確認して安全に処方できます。

● 救急医療での活躍

急病や事故などで意識がない場合でも、過去の治療情報・アレルギー歴・薬剤情報を医療従事者が確認し、より適切な救命治療につなげられます。

国としては、「全国、どこにいても安心して医療が受けられる」体制を目指しているわけです。

医療の効率化というメリット

マイナンバーカードの導入により、実際にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。

① 過去の薬がすぐにわかる

これにより、

  • 相互作用の危険がある薬の組み合わせを避けられる
  • 副作用のリスク管理ができる
  • 不必要な検査や処方の削減ができる

など、医療の安全性が高まります。

② 引っ越しや転院がスムーズ

今までは新しい医療機関に過去の情報が伝わりにくく、治療が途切れることがありました。新制度では、どこでも同じ情報にアクセス可能になり、継続治療がしやすくなります。

③ 「飲み合わせ」に迷わない

薬局でも過去の処方歴を確認できるため、市販薬との組み合わせなど、生活に密接したアドバイスもより正確になります。

これらは、国民全体にとっての安全性を高める重要なメリットです。

プライバシーの問題:性感染症の治療歴はどうなる?

一方で、誰もが気になるのはプライバシーです。

特に性感染症は、本人が「他の人に知られたくない」と考える代表的な疾患です。

過去に

  • 梅毒
  • 淋病
  • クラミジア
  • 性器ヘルペス
  • HIV関連投薬(PEP/PrEP)

などの治療歴がある場合、それが他の人に閲覧されることに不安を感じるのは当然です。

閲覧される範囲はどこまで?

医療機関が閲覧できるのは以下の情報です。

  • 過去の薬剤情報(保険診療分)
  • 特定健診情報
  • 高額療養費制度の情報

前提として、マイナ保険証を使うときに、情報提供に「同意しない」を選べば、情報連携はされません。それでも、毎回の受診の際に意図せず同意してしまったら…?など不安を感じるかもしれません。

その場合、そもそもマイナ保険証を使用しない、という選択肢もあります。というのは、連携される情報は、保険診療で処方された薬のみが対象だからです。

自由診療ではそもそもマイナ保険証は必要ありません。そのため、自由診療で処方された薬は、マイナ保険証で連携されないのです。

当院としての考え方:メリットとデメリットを理解し、自分で選べる時代へ

性感染症のようなセンシティブな内容は、自費診療で行うというのも一案となります。自費診療の情報はマイナ保険証上には残りません。性感染症治療やED治療、ホルモン治療などを自費で受けるクリニックも多くあり、プライバシーの確保を優先したい方には重要な選択肢です。

当院は「性の健康を見守る」専門クリニックとして、常に患者さんのプライバシーを最優先に考えています。

これらはすべて自費診療のため、マイナ保険証の薬剤情報には一切記録されません。

また、診療に必要な情報以外を確認することはありませんし、過去の治療歴が分からなくても、初診から安全に診療できる体制を整えています。

まとめ

マイナンバーカードによる保険証一本化は、医療の質と安全性を高める一方で、性感染症などセンシティブな領域ではプライバシーへの不安が残ります。

しかし実際には、

  • 同意しなければ閲覧されない
  • 自費診療の情報は残らない

など、患者さんが自分で情報公開の範囲を選べる仕組みになっています。

大切なのは、「自分の医療情報がどのように扱われるのか」を正しく理解し、自分に合った選択をすることです。

当院では、今後もこの制度の動向を注視しながら、患者さんのプライバシーと安心を守れる診療体制を追求していきます。