日刊スポーツから取材を受け、性感染症について様々なお話をしました。
18日間に渡って掲載していただきましたので、順次ご紹介していきます。
早期発見、早期治療
性感染症に気をつけろ
「消えて潜伏」
第1期に現われた硬性下疳(げかん)は、数週間後、治療しなくてもいったん消失する。
治ったかと思いきや、約3カ月後に新たな症状が現われる。
東京、西新宿の性感染症専門治療施設「プライベートケアクリニック東京」名誉院長、尾上泰彦医師はこう話す。
「第2期に入ると、局所から全身へ梅毒トレポネーマの血行性感染が起こります。そのため、皮膚症状や、口腔(こうくう)咽頭粘膜の症状に注目します」。
ある30代の男性会社員は受診した際には感染から6カ月がたっており、すでに胸、腹、腕、背中など全身にわたって、数ミリから爪の甲ほどの大きさをした薄紅色のバラの花びらのような斑点がたくさん散らばるように現われていた。
「いわゆるバラ疹という症状です。淡い紅斑(こうはん)が特徴で、数日から数週で消失します。かゆみはありません。」(尾上医師)。
ある20代の風俗嬢の場合、ポツポツとした赤い発疹が顔面や手足に現われ病院へ。
話を聞くと、数カ月前に、鼠径(そけい)部にシコリができたことがあるという。
女性の場合も発疹にかゆみはなかった。
「扁平(へんぺい)コンジローマという隆起性の丘疹(きゅうしん)がペニスやいんのう(玉袋)、肛門周囲に出来たりします。また、梅毒性乾癬(かんせん)といい、手のひらや足の裏に乾癬のように赤い斑点が出来たりと、梅毒は昔から『偽装の達人』といわれるほど症状が多彩です。梅毒性の頭髪の脱毛になることもあり、その場合、頭髪がまばらに抜ける特徴があります。いずれにせよ巧妙な詐欺師のように見つけにくいので注意が必要です」(尾上医師)。
症状は数カ月で消失し症状のない潜伏した状態となる。
(日刊スポーツより許可を得て掲載)