日刊スポーツから取材を受け、性感染症について様々なお話をしました。 18日間に渡って掲載していただきましたので、順次ご紹介していきます。

 

早期発見、早期治療
性感染症に気をつけろ

「尿道内の症状見落としに注意」

梅毒に感染してから適切な治療を受けず第2期を過ぎると第3期へ病期が進む。 性感染症治療に詳しい「プライベートケアクリニック東京」名誉院長の尾上泰彦医師はこう話す。

「感染から2~3年後の第3期は、結節性梅毒疹、ゴム腫などの症状が現われます。また第4期になると心臓、血管、骨、神経などに及び、大動脈炎や大動脈瘤(りゅう)、網膜炎などを発症します。ただし現在は第3期、第4期ともほとんどみられなくなりました」

ゴム腫は、ゴムのような弾力のある腫瘍で鎖骨などの関節にできやすい。 治療薬であるペニシリンが登場してから激減した。

ある30代男性の場合は、受診する3日前に、風俗店へ遊びに行き、女性からオーラルセックスのサービスを受けた。 主な症状としては、尿道口から黄色いウミが出た。 しかし、肛門や咽頭には症状がなかった。 最初は「淋菌(りんきん)性尿道炎」を疑われたが、診察をすすめていくと意外な事実がわかってきた。

「外尿道内の粘膜には白い腫瘍が見つかり、両側の鼠径(そけい)部のリンパ節もはれてました。痛みはありませんでした。どうやら淋菌に感染する3週間前に、別の風俗店で膣(ちつ)セックスとオーラルセックスをしたようです。梅毒により硬性下疳(げかん)が認められたケースでした」(尾上医師)。 なお、淋菌感染症については後日改めて触れたい。

ともあれ、尿道からウミが出ていれば「立派な」淋菌性尿道炎(淋病)の疑いが濃くなる。 しかしながら、尿道炎で病変部が見落とされると、「共犯」である梅毒の感染がわからないまま治療されてしまうおそれがある。 的確な治療につながる大事なポイントだという。

(日刊スポーツより許可を得て掲載)