変化する「性病」

性感染症とは性行為またはそれに類似する行為で感染する病気の総称です。
日本では性にまつわる病気の名称は下記のように変遷してきました。

・花柳(かりゅう)病 (昭和2年~)
・性病 (昭和23年~)
・性感染症 (昭和63年~)

世界的にはWHO(世界保健機関)が昭和50年に
“VD = Venereal Diseases”を改めて
“STD = Sexually Transmitted Diseases”を提唱し、さらには平成10年、性感染症の概念を拡大し
“STI = Sexually Transmitted Infections”を推奨し現在に至っています。
性感染症の病原微生物の大きさを比較すると、かつてのマクロレベルからミクロレベルへ、さらにはナノメーターオーダーの時代に突入し、病原微生物の主役の座を長年務めていた細菌がその座をウイルスへと明け渡してしまいました。 その意味では、今日は「無症候性ウイルス性STI時代」を迎えているともいえます。

 

すすむ低年齢化

また、かつては「花柳病」といわれ、男性の遊び人の病気とされていましたが、今や性感染症は女性優位の時代となり、性行動の活発な若い女性のトレンドになっていると言っても過言ではありません。

年齢的にみると性感染症は10代後半から急激に増加し、20代前半に大きなピークを迎え20代後半そして30代前半へと徐々に減少しています。

まさにこの現象は、性活動の最も盛んな若者に性感染症が多いことを如実にあらわしています。

また性情報の氾濫により初交年齢が低下し、それに伴い性感染症の低年齢化にますます拍車がかかっています。
地域別にみてみますと、かつての性病時代には都会の病気と思われていましたが、今や都会と地方の差は性感染症に関してはほとんどありません。

 

症状が乏しく、見逃されるケースも

症状についてみますと、“性病”といわれた時代には多くは症状がありましたが、現在の“性感染症”は無症状あるいは症状の乏しい疾患が増えています。

 

セックスの様式も多様化し、“性病”といわれた時代には腟性交が主流でしたが、今日では世情を反映し、風俗産業をはじめ若者の間でもオーラルセックスが日常化しています。
現在、日本では男性の性感染症の中で最も頻度の高い疾患はクラミジア性尿道炎、次いで淋菌性尿道炎です。 しかもその最大原因はオーラルセックスと考えられており、正に『口腔咽頭は性感染症の温床』とも言われています。

しかもクラミジア性、淋菌性咽頭炎はほとんどが無症候であるため、臨床医も、これを見逃してしまうケースが多いようです。こうして性感染症は知らずして家庭内に侵入し“家庭内環境汚染”を招いています。

また、もし何かの性感染症にかかっているとHIVに数倍、感染しやすいことも忘れないでください。

日本性感染症学会の診断・治療ガイドライン(2016年)には17疾患が記載されています。
A型肝炎と赤痢アメーバ症はMSM(Men who have Sex with Men)男性同性愛者に多い病気です。
現在、社会問題化されている性感染症といえば、梅毒で、特に女性では、この5年間で5倍も増加し、パンデミック状態で大変危惧されています。

心に不安を感じている方は是非、血液検査を受けることをお勧めいたします。
最後に貴方の性の健康をお祈りいたします。