日刊スポーツから取材を受け、性感染症について様々なお話をしました。
18日間に渡って掲載していただきましたので、順次ご紹介していきます。

梅毒急増  

早期発見、早期治療
性感染症に気をつけろ

毎年、夏に患者数が増える性感染症。
特に「梅毒」は近年増加の一途をたどり、昨年は42年ぶりに全国で4000人を超えました。
今年はさらにそれを上回るペースで、「昔の病気」というイメージは変わってきています。
社会面では本日から、さまざまな性感染症の現状、対処法などを紹介していきます。

■昔の病気じゃない

梅雨が明け、夏も本番。
暮らしと密接する「性感染症」は、誰もが注意すべき病である。
過去最悪のペースと言われる「梅毒」をはじめ、淋病(りんびょう)、性器クラミジア、そしてエイズまで、この数年間で大きく変わったもの、あるいは、そうではないが要注意なものと、病気を正しく知り、安心できる毎日を送ろう。

今年5月、東京の西新宿に、性感染症の治療を専門とする「プライベートケアクリニック東京」がオープンした。
クリニック名誉院長の尾上泰彦医師はこう話す。
「この時期になると、毎年増えてくるのが性感染症です。
多くの人が気持ちも身体も開放的になるからでしょう」。

尾上医師は、早くから性感染症に取り組んできたこの分野のエキスパート。
豊かな臨床経験と診断技術で、医師の間からの信頼も厚い。
患者の負担をより軽くー。
そんな尾上医師が今、最も懸念している病気が「梅毒」である。

尾上医師がこう警告する。
「この数年の大きな変化は、何と言っても梅毒の急増です。
梅毒は昔の病気だと思われていますが、そうではない。
梅毒は今、再興感染症として注目すべきでしょう」。

昨年1年間、全国の患者数は4518人に上った。
患者数が4000人を超えたのは、1974年依頼と実に42年ぶり。
97年には500人以下にまで減少した病気が、再び脅威になろうとしている。
急増ぶりが明らかになったのは2011年だが、その後も一貫して右肩上がりという状況が続く。
直近をみても、1671人(14年)→2660人(15年)→4518人(16年)というのが実態だ。

医療現場では、梅毒をみたことがないという医師や、忙しさに追われ、正確な数が報告されていないといった指摘がある。

「こうした数字は氷山の一角です」と心配する尾上医師。
実は、昨年をさらに上回る勢いが今年、続いている。
国立感染研究所の速報データでは、昨年の同時期2202人(28週)から678人増え、
今年は2880人(同)に。
いよいよ“危険水域”に近づいたか!?

(日刊スポーツより許可を得て掲載)