早漏とは
私が解説します
小堀 善友
男性の性の健康に関する診療を担当。
■泌尿器科医 ■生殖医療専門医 ■性機能学会専門医 ■性科学会セックスセラピスト
早漏とは?
本人やパートナーが期待される時間よりも早く射精してしまう状態を「早漏」といいます。
射精障害の中で最も多くの人が困っている状態であり、全世界での罹患率は30%、人数にすると7億人の人が悩んでいると言う報告があります。
また日本国内で行われたアンケート1)では、約3.5人に1人、つまり1,300万人の人が早漏であると推定されています。
早漏の定義
学会によって様々な定義がありましたが、簡単に言えば、「挿入して1分以内に射精してしまう状態」のことを指します。
ちなみに、国際性機能学会では、以下の3点を定義としています。
- 挿入から射精までの時間が短い(1分以内)
- 射精までのタイミングがコントロールできない
- 早漏であることに関して苦痛を感じており、パートナーとのトラブルがある
つまり、挿入時間が1分以上であったとしても、それを短いと考えることにより、ストレスを感じてしまう場合も早漏なのです。
早漏の問題点
早漏の問題点として、パートナーが満足できないために性生活が充実しないこと、 または男性自身が自信をなくしてしまうことにより性交渉を望まないようになることが挙げられます。
個人的な見解ですが、早漏は脳の病気と考えています。 病気と言われると、大げさに思われるかもしれませんが、海外では早漏は大きな性機能障害としての問題と考えられています。 実に、射精障害に関する医学的研究の90%以上は早漏の研究なのです。
早漏の治療
射精のリハビリ
射精を自分でコントロールできるようになるためのリハビリとして「ストップ アンド スタート法」という方法があります。
マスターベーションをする際に、すぐに射精しないようにする方法です。
射精をしてしまいそうになったときに手を止めて、落ち着いてから再び手を動かす。これを3回繰り返してから射精します。
この方法は一人でできますので、ぜひ一度トレーニングしてみましょう。
薬物療法
世界的にはプリリジー(ダボキセチン)という内服薬があり、60カ国で承認されていますが、日本では承認されていません。 射精は脳内の興奮を抑えるセロトニンというホルモンが関与しており、セロトニンの分泌をコントロールする薬で治療することができます。 そのため、日本国内では適応外使用となりますが、同様の作用をするうつ病の薬(SSRIなど)で治療を行われることがあります。
当クリニックでは「ダポキセチン」の処方が可能です。
当クリニックの早漏治療について詳しくは以下をご覧ください。
ED治療薬
バイアグラ、シアリスといったED治療薬であるPDE5阻害薬を使用することにより、ペニス内の血流が増加し、 ペニスが膨張することにより表皮の神経に刺激が伝わりづらくなるため、挿入時間が延長する効果があることがわかっています。 ED治療薬は副作用も少なく、勃起障害にも早漏にも効果がある薬なので、積極的に使用することをお勧めします。 動脈硬化の予防作用がある可能性もあり、実は体に良い薬なのです。
麻酔薬入りの軟膏やスプレー
局所麻酔の作用があるリドカイン入りの軟膏やスプレーを使って、感覚を麻痺させることにより、挿入時間が延長します。 副作用として、感度が低下する可能性があります。
厚いコンドームの使用
最近は0.01mmといった薄いコンドームが流行していますが、逆に早漏用のコンドームとして、「ゴクアツ」というコンドームがあります。 文字通り、厚さを持たせたコンドームである、ゴクアツは0.1mm、スーパーゴクアツは0.12mmと一桁違う厚さとなっています。 キャッチコピーは「もはや何も感じない!」。 一番手軽に使用することができるので、一度トライしてみる価値がありますよ。
カウンセリング
心理的要因を解消するだけでなく、パートナーとの理解を深め、最適な治療を確認するためにもカウンセリングが必要となります。 性機能の専門医を受診することをお勧めいたします。
早漏のまめちしき
国際性機能学会ガイドラインより、早漏に関するまめ知識をご紹介します。
早漏は原発性(生まれながらもともと早漏)と続発性(昔は早漏じゃなかったのに、歳を取ったら早漏になってしまった)という2つのパターンがあります。
挿入から射精までの平均時間は5.4分という研究報告があります。1分以内に自分でコントロールできずに射精してしまう場合は早漏と言えます。
早漏は男性とそのパートナーにとっては大きなストレスです。また、新しいパートナーを探そうとするときの心理的な障害となり得ます。
治療には、身体的、社会的、心理的治療を合わせて行うことが必要です。薬物治療だけでなく、カウンセリングも重要となってきます。
早漏は、治療可能な病気です。治療をご希望される方は、専門医を受診することをお勧めいたします。プライベートケアクリニック東京では、オンライン診療も行っていますので、ご興味がある方は相談してみてください。
1) テンガヘルスケア社調べ、2017年