小堀先生

みなさん、はじめまして。泌尿器科医の小堀と申します。2016年まで、ヨミドクターという読売新聞のネット版サイトで「オトコの性」にまつわるブログをやっていましたが、実に4年ぶりにブログを再開します。今後ともよろしくお願いいたします。

さて、最初のテーマは、現在も流行が収まっていない新型コロナの時代、「濃密接触」の代表格であるセックスをどのようにすべきなのかということについてです。実は、このことに関しては、国際性機能学会(ISSMhttps://www.issm.info/)が見解を示していますので、解説していきます。

精液中には新型コロナウイルスが存在する

精子の観察写真

基本的には、新型コロナウイルスは咳やくしゃみから飛沫した唾液や粘液が原因となり感染を起こします。そのため、感染を予防するためにはソーシャルディスタンスといって人と人との間に一定の距離を置くことは効果的です。

2020年4月の中国の研究では、新型コロナウイルス感染者の顔の皮膚と精液を調査したところ、双方に新型コロナウイルスが感知されたとの報告があります。不思議なことに、10名の新型コロナに感染した女性の膣粘液を調べたところ、膣内には新型コロナウイルスはいなかったそうです。男から女にセックスでウイルスをうつす可能性があったとしても、その逆はないのでしょうか?まあ、研究した人数が少ないのでなんとも言い難いと考えます。

性行為をすれば、新型コロナウイルスに感染する

そんなの当たり前じゃん、って言えば元も子もないのですが、濃密接触であるセックスでは新型コロナウイルスに感染するリスクがあります。国際性機能学会のホームページでは、セックスをする際に、以下の注意点を上げています。

国際性機能学会が勧める「新型コロナの時代、こんなセックスはやめておきましょう」

  1. キスをすると、唾液から感染する危険性があるのでやめましょう。
  2. 他人の肛門を舌で刺激するのをやめましょう。
  3. パンデミックが終わるまで、家族以外の人とセックスするのを控えましょう。
  4. 新型コロナウイルスに感染している人とセックスするのはやめましょう。
  5. 糖尿病、肺疾患、心臓病、癌、免疫力低下している同居者に感染すると致命的になりますので、セックスは控えましょう。

もう、ツッコミどころが多くて笑ってしまいます。
まあ、パンデミックが終わるまでおとなしくしていなさい、ということなのでしょうか?
また、上記の注意事項をクリアした上で、セックスをするときに以下の注意事項を挙げています。

国際性機能学会が勧める「新型コロナの時代、セックスをする際に気をつけること」

  1. コンドームとデンタルダムを使いましょう。
  2. 大人のおもちゃと手を20秒以上石鹸で洗いましょう。
  3. 咳や鼻水が出ている時はセックスはやめましょう。
  4. もし、あなたが新型コロナウイルスに感染していたら、セックスはやめておきましょう。

これまたツッコミどころが多くて笑えます。ここに出てくるデンタルダムとは、ラテックス性の平たい膜のことで、女性器や肛門を覆うことで、性器や肛門と口の接触を防ぐために使われているもののようです。私も初めて知りました。以下のページの絵を参考にしてみてください。
https://www.cdc.gov/condomeffectiveness/Dental-dam-use.html

それでは、新型コロナウイルスに感染している人はにどんなセックスをすれば良いのか?
学会では以下を推奨しています。

新型コロナウイルスに感染症でも楽しめるセックス

  1. マスターベーションをしましょう。ただし、する前に20秒以上石鹸で手を洗うのもお忘れなく。バイブレーターやディルドなどの大人のおもちゃもしっかり洗いましょう。
  2. テレフォンセックスや、スマホを使ってパートナーとエッチなやりとりをしましょう。想像力を駆使して性的幻想を探求することにより、再会した時にもっと盛り上がります。

バカらしいと思うかもしれませんが、これは本当に学会のホームページに記載されています。

いずれにしても、新型コロナウイルスに関しては、まだまだ新しい情報が出てくる段階であると考えます。過度に恐れすぎず、適切な感染予防をおこなって、今の生活を楽しんでいくことが重要であると考えています。