日刊スポーツから取材を受け、性感染症について様々なお話をしました。
18日間に渡って掲載していただきましたので、順次ご紹介していきます。
早期発見、早期治療
性感染症に気をつけろ
エイズと梅毒だけ医者に「全数報告」義務
梅毒は、戦後間もない日本では患者数が20万人を超えてまん延していた。
治療薬の普及で激減。
一時的な増加はあったが、さらに減り、1997年にはわずか500人を切るまでに。
しかし、2011年からは明らかな増加傾向となり、昨年には患者数は4518人に達した。
行政への報告は、大きく2つに分けられる。
1つめは決められた内容に基づき、医師が保健所へ1週間以内に届け出ることが義務づけられている「全数報告」。
それと、全国の指定された約1000の医療機関から報告される「定点報告」だ。
東京・西新宿にオープンした性感染症専門治療機関「プライベートケアクリニック東京」名誉院長の尾上泰彦医師はこう話す。
「全数報告では、どの医師であっても、それを診断した場合にすべて届け出なければならないのです。
対象になっているのは、後天性免疫不全症候群(エイズ)と梅毒の2つのみ。
定点報告は、産婦人科、皮膚科、泌尿器科、性病かの医師からの報告で、淋病(りんびょう)、性器クラミジア、性器ヘルペス、尖圭(せんけい)コンジローマの4つです」
梅毒の報告数は、男女とも「早期顕症1期と「2期」が急増している。
「顕症」とは、梅毒が皮膚や内臓に症状として現われる時期を指す。症状がない「無症候」もあり、そちらも急増した。
尾上医師が続ける。
「2014年以降はパンデミック状態(感染症の大きな流行)にあると言ってもいい。」
専門医らによる「日本性感染症学会」では、性感染症治療ガイドラインの中で、「17」の疾患を性感染症として取り上げている。
梅毒、淋菌(りんきん)感染症(淋病)、性器クラミジア感染、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、性器伝染性軟属腫、膣(ちつ)トリコモナス症、細菌性膣症、ケジラミ症、性器カンジダ症、非クラミジア非淋菌性尿道炎、軟性下疳(なんせいげかん)、HIV感染症とエイズ、肝炎(A型、B型、C型)、赤痢アメーバ症だ。
なじみの薄いものもある。
(日刊スポーツより許可を得て掲載)